「 呉田軽穂 」と「 グレタ・ガルボ 」 松任谷由実 FACES |

『 ムック 』ってご存知ですか?
書店やコンビニなどで目にしていても、
『 ムック 』という言葉にはあまり馴染みが
ないかもしれません。
実は、雑誌と書籍が合体してできた言葉で、
見た目も雑誌と書籍の中間のようなイメージです。
『 雑誌(MAGAZINE)』+『書籍(BOOK) 』=『 ムック(MOOK) 』
英語で書くとわかりやすいですね。
1つの特集テーマに対して編集されるのが一般的で、
雑誌のような手軽さがありますが、定期的な発行ではありません。
ですから、月刊誌のように翌月の発売日になると姿を消してしまうのではなく、
比較的長い期間、店頭に置かれています。
定価は雑誌よりもやや高めですが、装丁も内容も「 豪華 」なものが多いため、
保存版として購入する人が増えています。私も前にこれを買いました。
そして今週…電車の中では、これを読んでいます。
単に資料だけでなく「 サイモンとガーファンクル 」というデュオを
いろんな人たちのインタビュー形式で捉えています。
1964年のデビューから1970年の解散、
1981年NYセントラルパーク・コンサートと
翌年日本に始まる再結成ワールド・ツアー、
1993年再来日コンサートと、ディケイド(10年)毎に
節目のイベントがあったサイモン&ガーファンクル。
彼らの60年代に残した足跡は、結局アルバム5枚だけでしたが、
30年以上を経た今でも、その音楽を聴かない日はありません。
サイモンとガーファンクルは、素敵な歌がたくさんありますが、
私は「サウンド・オブ・サイレンス」が大好きです。
記事を読んで知ったのですが、「 さだまさし 」さんの「 字あまり歌詞 」への
曲の載せ方も、ポール・サイモンから影響を受けたという話や、
そもそも漫画家の「 柴門ふみ 」さんのペンネームの柴門(*)は、
ポール・サイモンに夢中だったというのでつけたくらいで、
自称ミーハーであり、実際本を読んでもミーハーなのがわかります。
そして、もう一人影響された人が…今日の「 松任谷(荒井)由実 」さんです。
歌詞の中にズバリ出てきます。直球勝負で気持ちいい今日のBGMです。
当時歌っていた「 BREAD&BUTTER 」さんも、湘南サウンドの代表。
時期的には、加山雄三さんと サザンオールスターズ ・TUBEの
ちょうど過渡期に位置すると思います。もちろん今でも現役で、
最新アルバム「 SKY 」は今年4月21日に発売されました。
ただし今日はユーミンのアルバムから。呉田軽穂は、ユーミンが
自ら歌うことはないという提供曲につけていたペンネームでした。

稲垣潤一の「 オーシャン・ブルー 」、
松田聖子の 「 瞳はダイアモンド 」といった
懐かしい名曲群を、リッキー・ピーターソンの
プロデュースによるミネアポリス録音で
現代風にリメイクしてあります。
作詞作曲の「 呉田軽穂 」は伝説の女優グレタ・ガルボの当て字です。
ガルボは1905年スウェーデンのストックホルム生まれ。
3人兄弟の末子で、草も生えないほど貧しい地区だったそうです。
本名はグレタ・グスタフリンといいます。
家計を助けるために、13歳で学校をやめ理髪店で働きました。
その後デパートで働いていたときに宣伝用の短編映画に出て、
その後彼女は女優を夢見るようになります。
デパートをやめ、王立劇場付属の演劇学校に通い、17歳のとき
コメディー映画の娘役で出演したのが最初でした。
スウェーデン映画の巨匠「 モーリス・スティルディル 」の
オーディションを受け、認められる。ドイツ映画に進出し、
さらにアメリカのMGMに売り込み、19歳のとき、
ガルボとスティルディルはニューヨークへ渡ります。
ガルボはたちまち人気を得、クールな美しさから「 氷の女王 」と呼ばれました。
大柄で足早な女優、アップの目の表情で感情を表現できる女優、という
新しいタイプの女優の誕生でした。
気立てがよく純朴なガルボは、きわどいインタビューにも
「 未婚だけどスティルディルと同棲している 」など余計なことを
しゃべってしまうので、あわてた会社はマスコミ嫌いで寡黙な
セクシー女優として売ることに方向転換しました。
この提案が、ガルボの本性と大変にマッチしていたようで、
この後本当にマスコミ嫌い、人嫌いが嵩じていくのです。
会社と衝突したスティルディルは1年でスウェーデンに帰国し、
ガルボは時のスター、ジョン・ギルバートの相手役に抜擢され、
私生活でも恋に落ちました。しかしながら、贅沢や派手な生活に
興味のないガルボは、ギルバートのプロポーズを断り、
その後本当の恋をすることはなかったそうです。
そんな「 呉田軽穂 」とユーミンはどこか重なってみえます。
ユーミンが草も生えないほど貧しい生活ではないことは確かです!
その意味で『 Yuming Compositions : FACES 』というアルバムは、
自分で歌わない歌を唄った、画期的な作品だと思います。
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6時のターミナルで ふりむいたきみは
板に付いた 紺色のスーツ
今でも気まぐれに 街をゆくぼくは
変わらないよ ああ あの頃のままさ
去りゆく若い時間を ひとり止めしているようで
うらやましいやつだよと はじめて笑ってくれた
For Yourself For Yourself
そらさないでおくれ その瞳を
人は自分を生きてゆくのだから
ネクタイ少しゆるめ 寂しげなきみが
馴染みの店に 腰すえる夜は
陽焼けした両足を 投げだしてぼくも
『 SIMON & GARFUNKEL 』久しぶりにきく
人生のひとふしまだ 卒業したくないぼくと
たあいない夢なんか とっくに切り捨てたきみ
For Myself For Myself
幸せの形に こだわらずに
人は自分を生きてゆくのだから
For Myself For Myself
そらさないでおくれ その瞳を
人は自分を生きてゆくのだから
For Myself For Myself
幸せの形に こだわらずに
人は自分を生きてゆくのだから
(呉田軽穂作詞作曲・松任谷由実唄「あの頃のまま」より)
JASRAC許諾第J050912808号
幸せの形に こだわらずに
生きていけたら…素敵です。
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(*)柴門ふみ
漫画家。小説家。1957年うまれ。徳島県出身。本名、弘兼準子。
お茶の水女子大学在学中から(ご主人の)弘兼憲史氏のアシスタントを務め、
1980年に、デビュー。代表作に、『 PS.元気です、俊平 』『 新・同棲時代 』
『 同級生 』『 あすなろ白書 』など多数。もっとも彼女を有名にしたのは、
鈴木保奈美・織田裕二主演でドラマ化された『 東京ラブストーリー 』。
(この記事は、10月1日に加筆・修正を行なっています)